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【書評】『消滅遺産 もう見られない世界の偉大な建造物』 タイムマシンの旅のように

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 ユネスコの世界文化遺産を訪ねる旅行が人気を呼んで久しい。国内の各自治体も、観光産業の振興と経済効果をもくろみ、新たな文化遺産の認定に躍起となっている。

 だが、そうした動向とは一線を画すのが本書「消滅遺産」だ。その内容は「もう見られない世界の偉大な建造物」という副題のとおりである。紛争や自然災害で破壊された建物をはじめ、再建されたはいいものの建設当初と大幅に変更されてしまった物件、さらには現段階で消滅の危機にさらされている古代遺跡などが取り上げられる。その数は計29件にのぼり、世界各地から選ばれている。

 これらの消滅遺産の大半は、バーミヤーンの大仏を筆頭に全世界の人たちを唖然(あぜん)とさせ失望させた。また、最近は戦争に伴う被害のみならずテロリストによる破壊が増えたことにもあらためて気づかされる。さらに、悪意に満ちた破壊だけではなく、無頓着な営みによる被害もある。

 チリ北部のアタカマ砂漠にある地上絵は、2009年以降、ダカールラリーの開催のせいで修復不可能な状態を招いた。こうした事例はダークツーリズムとも重なり合う面も大きい。ダークツーリズムとは、災害や戦争、事件などの風化や忘却を防ぐため、たとえばチェルノブイリ原発やホロコーストなど負の遺産をめぐる観光である。

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