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【聞きたい。】星野智幸さん 『焔』 「あり得た自分」想像する力

星野智幸さん
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 9つの短編の間に、新たにモノローグ(独白)を書き下ろし、重厚な長編のような一冊に仕上げた。

 「リアリズムではない形で、今自分が生きている世界を書く。そのスタンスはすべてに共通している」

 最後の生き残りという人々が座って火を囲み、自らの物語を語っては去っていく。酷暑の公園でひたすら回り続ける男女。介護に疲れ「お年寄り、引き取ります」とうたう団体に父を託す男…。この世を厭(いと)い、自分ではない何かになりたいと望む人々の物語が現代社会と鋭く切り結ぶ。「過度なバッシングやヘイトスピーチ…と、今の社会は他者を落としめるネガティブな感情を噴出させて個々人が生きる気力を得ている状態。まさに破局だけれど、その先にある再生を見たくて書いていた気がする」

 自身の新聞記者時代を投影した一編「乗り換え」も印象深い。新聞社を辞めてメキシコに渡った「星野幸智」が新人記者だった30年前に通った料理店で、別の自分と会う。頬がこけた貧相な自分に対し、もう一人は中年太りでギラついた新聞社の政治部デスク。同じ幼少期を送りながら、物腰も考え方ももはや別物。〈俺にならない俺は無数にいる〉-。2人の内面の対話から他者への想像力の大切さが伝わってくる。

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