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【科学の先駆者たち】中西重忠・京都大名誉教授 脳科学に突破口、記憶や学習の鍵物質を解明

記憶や学習の仕組みを解明した中西重忠・京都大名誉教授=京都市(草下健夫撮影)
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 人間の脳は、どのように記憶や学習をしているのか。この大きな謎に挑んだのが京都大の中西重忠名誉教授(76)だ。情報の伝達役であるタンパク質の構造を世界に先駆けて解明し、脳の仕組みや薬の研究を飛躍的に進展させた。

 体の司令塔である脳では約1千億個の神経細胞がネットワーク状につながり、思考や感覚の情報をつかさどっている。この神経細胞は背骨にある脊髄を通じて、全身に張り巡らされている。

 脳の情報を体に伝える際は、神経細胞から「神経伝達物質」という化学物質が放出され、これを隣の細胞が「受容体」と呼ばれるタンパク質で受け取る。こうしたリレーを繰り返し、情報は全身に伝わっていく。

 記憶や学習で中心的な役割を果たす神経伝達物質が「グルタミン酸」だ。これを受容体がキャッチすると細胞内にカルシウムが流入し、さまざまな分子と結合して記憶や学習が行われる。

 グルタミン酸の働きは以前から知られていたが、鍵を握る受容体の正体は謎に包まれていた。世界中の科学者が解明を目指す中、中西さんはカエルの実験で使われていた遺伝子工学の手法に着目。これを応用して解明に挑んだ。

神経細胞の情報伝達、遺伝情報で解明

 1991年、記憶や学習の引き金となる「NMDA型」というグルタミン酸受容体の構造解明に成功。高次の脳機能を支える最も重要なタイプの受容体だ。さらに、その調整役である「代謝型」の構造も解明。神経細胞の情報伝達の仕組みを、遺伝情報に基づいて初めて明らかにした。

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