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【書評倶楽部】タレント・麻木久仁子 『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』 今、この愚かさを笑えるか

麻木久仁子さん=東京都千代田区大手町(瀧誠四郎撮影)
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 本書は資料が豊富に残る1928年から敗戦までの期間の検閲を、細かな資料にも目配りしつつひもといている。エロ・グロ・ナンセンスの時代のいたちごっこのような検閲官と出版社の攻防は喜劇的でもある。が、時代が進み、軍国主義とテロの時代になると検閲は一気に複雑さを増す。あるときは「反戦的軍務誹謗(ひぼう)である」として発禁、またあるときは「好戦的で戦争誘発だ」と発禁。あらゆる場面に介入し言論を統制し始めるのだ。そしていよいよ戦争の時代。検閲に軍が直接手を突っ込むようになっていく。

 一貫しているのは、正規の検閲では網をかけきれない部分を、必ずしも充実していたとはいえない検閲体制で、いかに漏れなく網羅するかという「努力」である。言論人・機関を脅したり、宥(なだ)めたり、すかしたりしながら時間をかけて「教育」し、自主規制を行わせて検閲のコストを下げる。やたら発禁処分をくらえば経営を圧迫する言論機関にとっても、事前に検閲側と阿吽(あうん)でことが進むなら好都合だった。言論に関わるあらゆる場面での空気の読み合いと忖度(そんたく)は、リスク回避とコストダウンという合理性で強固になっていく。

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