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【話の肖像画】女流棋士第1号・蛸島彰子(4) 初の女性棋戦でタイトル獲得

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【話の肖像画】
女流棋士第1号・蛸島彰子(4) 初の女性棋戦でタイトル獲得

 その日、関根さんは風邪をひいていて、厚めの服を着ていました。対局中、その服の袖で端の香車を駒台に落としてしまい、その香車を盤上に打ち、反則負けとなってしまったんです。関根さんも緊張していたんでしょうね。緊張すると、いろんなドラマが生まれますよ。それまでは「負けたらどうしよう」と思っていたんですが、「負けたら次に頑張ればいい」という気持ちになりました。

 〈三番勝負の相手は寺下さんになった〉

 49年11月、第1局が東京の将棋会館で行われました。持ち時間は各3時間。先手の私が勝ちました。第2局も勝ち、2連勝で初代女流名人位に就くことができました。長い棋士人生の中で一番印象に残っているのはこの第1期女流名人位戦ですね。女流名人位になることができ、自信が持てました。

 〈その後も防衛を重ね、3連覇。失冠した年に創設された女流王将戦でも初代女流王将となり、3連覇した〉

 女流名人位は第4期で挑戦者の山下さんに敗れ、失冠してしまいました。山下さんはいつも私のそばにいて、私の将棋をじーっと見ていました。私に勝つことに集中していたんでしょうね。後ろからひたひたと近づいてくるのを感じていました。私は当時、将棋界の仕事や子供たちの世話もしていましたから、山下さんほど将棋の勉強はしていませんでした。それが負けにつながったのかな。

 でも、タイトル戦を終え、まだまだ勝てる機会があるという気持ちを強く持ちました。それが後に、女流名人位で山下さんを破っての5年ぶりのタイトル奪還につながりました。(聞き手 田中夕介)

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