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【きょうの人】国際アンデルセン賞作家賞を受賞 角野栄子さん「見えない世界、想像して楽しむ」

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【きょうの人】
国際アンデルセン賞作家賞を受賞 角野栄子さん「見えない世界、想像して楽しむ」

国際アンデルセン賞作家賞を受賞 角野栄子さん(飯田英男撮影) 国際アンデルセン賞作家賞を受賞 角野栄子さん(飯田英男撮影)

 半世紀近いキャリアで、400点に迫る著作を積み上げてきた日本を代表する児童文学作家。「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞の作家賞に選ばれ、「大好きな書くことをしてたくさんの人に読まれ、認めていただいたのが本当にうれしい」と笑顔で語る。

 東京に生まれ、5歳のときに母を亡くした。寂しさと不安から泣く娘に、江戸っ子の父は、さまざまな昔話や英雄譚(たん)を独特の節回しを交えて語り聞かせてくれた。「父が楽しそうに話すから私も物語が好きになった」。奇想天外で遊び心に満ちた物語を紡ぐ才能の、それが原点だ。

 早大を卒業し新婚間もないころ、夫婦でブラジルに移民として渡り、言葉も分からない環境で2年を過ごした。そんな好奇心とたくましさは、宮崎駿監督によるアニメ映画も大ヒットした代表作「魔女の宅急便」にも流れる。物語の主人公である魔女キキは、心配する周囲に〈贈りもののふたをあけるときみたいにわくわくしてるわ〉と言って、見知らぬ町へと旅立つ。

 「この角を曲がったら何に出合うかな?と想像して、見えない世界を楽しむ。それは一つのわくわくする冒険。私はすごく忘れっぽくて、前のことより、これから先のことを面白がるのが好きなんです」

 80歳を過ぎても創作意欲は尽きない。ゲームやスマホに囲まれた子供たちを本の世界へ導く、という使命感も背中を押す。

 「子供はつまらなかったら読むのをやめる。だから最初の3ページが勝負。押しつけがましくなくて自由に読める、風景を溶かし込んだような言葉を書いていきたい」(海老沢類)

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