産経ニュース

【この本と出会った】赤毛のアン モンゴメリ著、村岡花子訳 曲がり角のさきによいもの 銀座屋上ギャラリー枝香庵オーナー・荒井よし枝

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【この本と出会った】
赤毛のアン モンゴメリ著、村岡花子訳 曲がり角のさきによいもの 銀座屋上ギャラリー枝香庵オーナー・荒井よし枝

 人生には曲がり角がある。ひょんなことから平成18年9月1日、銀座で画廊を始めてしまった。私は56歳だった。小さなころから美しいものへの憧れはあったが、美術については正真正銘の素人だった。それはいまもたいして変わらない。これは、と思った作家を世界にはばたかせたい。その一念で運営を続けている。

 引っ込み思案の子供だった。父の仕事の都合で東京・品川、埼玉・浦和、札幌、金沢、神戸と移り住み転校が重なったからだろう。そんな私の楽しみは、空想すること、ピアノを弾くこと、両親の故郷である高知県黒潮町の自然とたわむれることだった。夏休みにはきまってこの町に帰り、山と海に遊んでもらった。だから本は無縁だった。読書感想文では、なるべく薄い作品を選んだ。

 自発的に本を読み始めたのは大学に入ってからだ。本好きの友人の影響で、中学生のころから気になっていた『赤毛のアン』を手に取った。まず、舞台となったプリンスエドワード島の自然の描写に引き込まれた。それは私の心の中にある黒潮町と重なった。物語を読み進めるうちに、空想好きで野心を持った女の子なら誰もがそうであるように、「アンは私だ」と感じるようになった。夢中になって読んだ。

続きを読む

「ライフ」のランキング