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【書評】脚本家、小林竜雄が読む『それまでの明日』原りょう著 「探偵マーロウ」再生の実験に新味

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 だが、渡辺は3作目『さらば長き眠り』で病死してしまう。4作目『愚か者死すべし』からは沢崎単独という本来のマーロウ物となった。意外性のある展開は面白いが警察と暴力団が絡むありがちな探偵物に近くなっていた。新宿が舞台なので仕方ないのかもしれないが、読後の手応えは弱かった。そのため次作で打開しようとしたがうまくいかず歳月だけが過ぎていったのではないかと考えた。

 しかし、“さらば長き眠り”と、ついに本書が刊行となった。今度は50代の沢崎に息子みたいな〈父親捜し〉をしている青年がかかわってくるのが新味だろう。だが、思ったほどにはふくらまない。それでもラストは気になった。これは続編への布石を打ったのか。それなら時代を生きる五十男の辛(つら)さがさらに鮮明になるような展開を望みたい。(早川書房・1800円+税)

 評・小林竜雄(脚本家)

●=僚のつくり

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