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ロシアの文豪から世界の若者へのメッセージ トルストイ生誕190周年に考える 作家・翻訳家 ふみ子デイヴィス氏

トルストイ(ふみ子デイヴィス氏提供写真)
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 今年は、ロシアの文豪、レフ・ニコラエヴィッチ・トルストイの生誕190年に当たる。大富豪でありながら財産を他人のために使い、人間の「幸せ」を追求した文豪の一生を思うと、現代人は本当に「幸せ」になったのか、疑問である。有り余るお金で本当に人は幸せになれるのか-。いま一度、文豪が伝えようとしたメッセージを思い起こさずにはいられない。

 29歳で農奴解放

 トルストイは1828年8月28日、モスクワから200キロ南のトゥーラ地方ヤースナヤ・ポリャーナで地主貴族の三男に生まれた。広大な土地と館を継承し、所有地には500人近い農奴が従属していた。青年時代、この農奴制に疑問を抱き、農奴を解放するための策に心を砕いた。

 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』に次ぐ代表作として『復活』が挙げられる。そこには農奴たちの極度の貧しさが克明に描かれている。トルストイは29歳の時に自分の農奴を解放した。翌年には農民たちに協同組合方式の農業経営を提案して指導した。その頃から農民の子供たちの教育にも携わり始めている。

 結婚後は次々と長編小説を発表した。『アズブカ(ロシア語あいうえお)』と題した初頭教科書の執筆・編集を行い、1874年には国民学校図書として文部省に認可された。トルストイは他者に自らをささげる生き方を一貫し、『復活』のみを例外として、著作権を放棄した。

 『復活』は1900年に出版された。当時、「ドウホボール」と呼ばれるキリスト教の一派が政府から弾圧を受けていた。トルストイはドウホボール救済に『復活』の印税を当てる決心を固めたとされる。

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