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【アート 美】「浜田知明」展 諧謔に包み描く人の愚かさ

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【アート 美】
「浜田知明」展 諧謔に包み描く人の愚かさ

「月夜」1977年 エッチング、アクアチント(町田市立国際版画美術館蔵) 「月夜」1977年 エッチング、アクアチント(町田市立国際版画美術館蔵)

 浜田にとって戦争体験は創作の原点だった。反戦や平和のテーマで語られがちだが、浜田の表現は一面的ではなく広い。生来優しい人間も、特殊な環境に置かれれば冷酷になり、理不尽なことを繰り返し、やがて醜い姿をさらけ出す。わがままで愚かで弱い人間を、自身への批判を込め、諧謔(かいぎゃく)というベールに包み描き出したのが、浜田知明ではないのか。

 物事の表象や時流を捉えた作品とは大きく違う。生死を賭けた体験を基に人間の本質に迫った作品は重い。(渋沢和彦)

                   

 彫刻に「生の感覚」

 浜田知明は版画のほかに彫刻を手掛けた。今回は4点が展示され、その中の1点に「ボス」という作品がある。モチーフは人間ではなくチンパンジーだ。積み上げられた5脚のいすの頂上に居座るボス。しかし、いすは傾きおぼつかない。いまにも落ちてしまいそうだ。権力を得ても決して安泰ではない。動物も人間社会の構図と同じなのか。あるいは人間をチンパンジーに例えたのか、アイロニーが効いている。

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