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【書評】東京工芸大教授・石川健次が読む『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』古田亮著 より深部へ、本質へ肉薄

「日本画とは何だったのか」
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 初めて本書を手にしたとき、タイトルに違和感を抱いた。「日本画とは何か」ではなく、「~何だったのか」とまるで日本画が終わっている印象を受けたからだ。そう、日本画は終わった。本書はそう説く。正確に言おう。副題にあるように、近代日本画は終わったのである。

 近代という時代が去ったのだから当然かもしれない。でも単純に時代を区切っているのではない。近代日本画を真ん中に、それ以前の、いわばプレ近代日本画と、近代日本画終焉(しゅうえん)後のポスト近代日本画へも視野を広げ、日本画の深部へ、本質へ肉薄する。

 プレ近代日本画のなかで著者は、円山応挙に始まる写生表現などに近代日本画の芽生えを見る。開国して西洋を知った近代日本という国家体制のなかで、日本画はそれ以前の日本絵画を糾合するかたちで洋画との対概念として創られた。大陸進出を狙う帝国主義的方向を強める近代日本で、国名を冠した絵画が国家繁栄や国威高揚と無縁でいられないのは想像に難くない。

 本書を引用しつつ大胆を承知で要約すれば、「自然発生的に生まれた野生の絵画」ではなく「近代国家が保護育成した温室絵画」の日本画は、近代国家の挫折とともに、「終戦による天皇を中心とする国家体制の消滅とともに、その時代規定を失うこと」で終焉を迎えた。だが脆弱(ぜいじゃく)な官製絵画に近代日本画が映ったとすれば誤解だ。

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