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【書評】国民の「当事者意識」醸成も 『国家の危機管理』森本敏、浜谷英博著

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【書評】
国民の「当事者意識」醸成も 『国家の危機管理』森本敏、浜谷英博著

『国家の危機管理』森本敏、浜谷英博著 『国家の危機管理』森本敏、浜谷英博著

 その第一歩として本書は、近年の主要な事態における危機対応の実際、失敗・教訓を明示し、何が問題だったのか精査する。具体的には阪神・淡路大震災以降の大規模自然災害、湾岸危機、ペルー大使公邸人質事件やISILらによるテロ事件、原子力発電所事故、北朝鮮の核・弾道ミサイルなど。失敗を学び、自らの弱点を知ることから始めようというものである。

 さらに、わが国の法体系の中で欠落している「緊急事態への対応」でも、緊急事態の態様、現行憲法との関係、緊急事態法制の考え方、人権の保障と制約のバランスについても簡潔に説明している。

 何より、〈いまだ定着していない〉という「危機管理」の定義や概念、リスクとクライシスの違いなど、基本的事項に立ち返り、詳細な検討も重ねている。テーマは国家の危機管理だが、危機管理組織のあり方、対応の手順、意識など一般個人、組織にも役立ち、〈国民一人一人の「当事者意識」の醸成〉にも資する好個の書である。(海竜社・3200円+税)

 評・山下輝男(元陸将)

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