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【暮らし替えの道しるべ】(3)遺品整理、日頃の片付けで潔く

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【暮らし替えの道しるべ】
(3)遺品整理、日頃の片付けで潔く

 数年前、ある遺品整理に伺ったときのことです。びっくりするくらいきちんと整理されたお宅でした。少し古いマンションでしたが、どのお部屋もきれいに掃除され、ホコリひとつありません。私がこの遺品整理のことを今でも思い出すのは、まるで自分が亡くなった後を想定して生前に整理されたような跡があったからです。

 高齢の単身男性で持病があったそうです。立ち会われたのはおいごさんで、お子さまはいらっしゃらなかったようです。先に他界された奥さまのお気に入りとみられるお着物が少し残されていただけで、それ以外はすっかり整理されていました。

 一番驚いたのは、遺品整理でおいごさんが困らないように、マンションに残していくものはメモ用紙に表記してありました。一般に、男性の背広のポケットにはハンカチや小銭が入れっぱなしのことが多いですが、この男性の背広の胸ポケットには1個ずつ防虫剤が入っているだけ。完璧な生前整理でした。残された自分の時間を現実に意識しながらの生前整理はどんな思いだったのでしょうか。

 遺品整理は経験しないとその大変さがわからない、といいます。「片付けても片付けても終わらない。出口の見えないトンネルに入ったようだ」と疲れ果てた娘さんもいました。たくさんの遺品を前に、本当は捨ててはいけないものなのではないだろうか? などと迷いながら仕分けし、整理することほど精神的につらいことはありません。

 「実家の片付け」をテーマに講演をすると、70~80代の方が90%を占めます。息子や娘に迷惑をかけたくない。自分の荷物は自分で片付けたいと思っているのでしょう。少しずつ整理することで、残された人が困らないようにしないといけませんね。(日本ホームステージング協会代表理事・杉之原冨士子)

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