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【話の肖像画】ダウン症の書家・金澤翔子 母・泰子(3) 自分だけが苦しんでいた

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【話の肖像画】
ダウン症の書家・金澤翔子 母・泰子(3) 自分だけが苦しんでいた

金澤翔子さんと両親。裕さんと泰子さん(提供写真) 金澤翔子さんと両親。裕さんと泰子さん(提供写真)

 そんなときに思い出したのが、在りし日の主人の言葉でした。「翔子が20歳になったら個展をやろう。そして、みんなに来てもらい、翔子がダウン症であることを公表しよう」。主人は、自分では積極的に書道をする人ではなかったのですが、翔子の書の才能を誰よりも認めていました。

 18歳だから、まだ間に合う-。一生懸命準備を始めました。生涯に一度だけ、翔子の個展を盛大に開いてあげよう。結婚はできないかもしれないから、結婚式と披露宴のつもりで、思い切って夫が残したお金を使って最高の展覧会とパーティーをやろうと決意したんです。夫も喜んでくれるだろう、という思いもありました。

 そしてついに、翔子が20歳になったお祝いに、東京・銀座で最高の会場を借りて個展を開き、豪華な図録を作りました。帝国ホテルで記念レセプションも開催しました。ここまでやれば、私が倒れ、翔子が施設に入ることになっても認めてもらえるのではないか。そんな考えもありました。

 この個展がメディアに取り上げられて話題となり、多くの方に来ていただきました。翔子の書を見た多くの来場者が涙を流していました。私も全力でやりきって満足でした。でも、それは始まりにすぎませんでした。(聞き手 内藤泰朗)

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