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【話の肖像画】ダウン症の書家・金澤翔子 母・泰子(2) 絶望の底で書いた涙の書

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【話の肖像画】
ダウン症の書家・金澤翔子 母・泰子(2) 絶望の底で書いた涙の書

金澤翔子さんを抱える母親の泰子さん(提供写真) 金澤翔子さんを抱える母親の泰子さん(提供写真)

 翔子は最初、小学校の普通学級にいましたが、小学4年のときに別の学校の特別支援学級に移るように言われたんです。私が書道教室を開き、翔子も学校に慣れて友達もでき、うまくいっていました。しかし突然、転校になったことにショックを受け、一時、学校に行かなくなりました。友達はいなくなり、家にいる時間だけが長くなり、このままではダメだ、何とかしなければ、と思い、276文字あるお経「般若心経」を大きな紙に書かせることを思い立ちました。

 でも、親が子供に教えるのは本当に難しい。なぜ書けないのか、と怒ってしまうのです。それでも、翔子は涙を流しながら書きました。1行書いて墨と涙を乾かすたびに、「ありがとう」と私にお礼を言って温かいミルクティーをいれてくれるんです。自分の方が疲れているのに。あのとき、3千字は書かせました。

 教えたわけではないのですが、叱られながら苦しい思いをして難しい漢字を書いたことで、書道の基本ができたのだと思います。約1400年前の中国の楷書(かいしょ)の大家、欧陽詢(おう・ようじゅん)の書体が身についてしまったんです。苦しい中で翔子は書き、私も自分の苦しみを翔子にぶつけた。この体験を通して、書の中で私と翔子は深く強く手を握り合えたのです。もし、あのとき普通学級に通い続けていたら、翔子は書家になっていなかった。苦しい中、一緒に難しい般若心経を書いていなかったら、今の翔子はないと思います。(聞き手 内藤泰朗)

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