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【書評】不思議さを楽しみながら 『新・神楽と出会う本 歌・楽器・お囃子』三上敏視著

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【書評】
不思議さを楽しみながら 『新・神楽と出会う本 歌・楽器・お囃子』三上敏視著

『新・神楽と出会う本歌・楽器・お囃子』三上敏視著(アルテスパブリッシング・2200円+税) 『新・神楽と出会う本歌・楽器・お囃子』三上敏視著(アルテスパブリッシング・2200円+税)

 そこから浮き彫りにされてゆく神楽のイメージは魅力的である。神が降臨する場所としての神座(かみくら)で行われる神祭り、そこで奉納された歌舞や祈祷(きとう)のなかに、神楽の古風な姿が見定められる。だから、巫女(みこ)の神がかりの痕跡に目を凝らすのだ。また、神楽の多様なリズムのなかに、あえてする「ズレ」や「訛(なま)り」が見いだされる。ミュージシャンらしい繊細な耳だ。日本人のリズム感は昔から豊かだった、ともいう。神楽の脇で男女が歌を掛け合う「せり歌」に、歌垣の記憶が重ねられている。それが漂わせる性的な匂いを思えば、けっして唐突なものではない。

 神楽というカオスの中にこそ、縄文にも繋(つな)がる、この列島の古層をなす精神文化が豊かに埋もれているに違いない。(アルテスパブリッシング・2200円+税)

 (評・赤坂憲雄)

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