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【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】
『いやいやえん』(上)子供が子供らしく生きる
しげるの姿を面白がる子、ほっとする子、全く困ったもんだというような表情を浮かべる子とさまざまですが、いつの時代も、子供たちは皆すぐに、しげるを好きになります。なぜなら、しげるは自分たちによく似た“子供”だからです。
子供だけではありません。子供にせがまれて家で読み始めたお母さんが、「何だか、ほっとしちゃった。うちの子、しげるほど言うことを聞かなくないもの。でも、こういう子、私の子供時代もいたよね。憎めないっていうか、かわいいっていうか…」。
このお話は、時代は変わっても、子供の本質は変わらないことを教えてくれます。そして、『いやいやえん』には、保母として子供とともに生き、子供の面白さやかわいさを心から味わい続ける、作者、中川さんの子供への深い愛情と、昔は誰もが子供だった大人への大切なメッセージを感じることができます。
さて、この本のタイトルがなぜ『いやいやえん』なのか、その理由は次回のお楽しみ、お楽しみ。読者の皆さま、今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。(国立音楽大准教授 林浩子)=次回は26日掲載予定