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【編集者のおすすめ】米朝をめぐる最悪のシナリオ 『独裁の宴(うたげ)』手嶋龍一×佐藤優著 

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【編集者のおすすめ】
米朝をめぐる最悪のシナリオ 『独裁の宴(うたげ)』手嶋龍一×佐藤優著 

『独裁の宴(うたげ)』手嶋龍一×佐藤優著 『独裁の宴(うたげ)』手嶋龍一×佐藤優著

 押しも押されもしない世界の超大国アメリカのトランプ大統領が、小さな北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の挑発を真に受け、子供のような「言葉の戦争」を続けているうちに諍(いさか)いはヒートアップ。東アジアはとんでもない危険水域に入った。米国の先制攻撃はあるのか。日本にかつてない緊張が走る中、インテリジェンスの巨匠2人が米朝を中心に、混乱した国際情勢を読み解いた。

 もしかしたら米国は、米大陸を射程に収めるようなICBMさえ持たなければ、北朝鮮の核保有を黙認するのではないか……。日本の安全はどうなるのか。2人が示す最悪のシナリオに背筋も凍る。

 そもそも、米国の“核の傘”とは何か。核をめぐる状況が一変した今、新たな方向に踏み出す必要があるはずだ。佐藤氏はいまこそ「非核三原則」を見直すべきだと主張し、「非核一・五原則」を披露! 驚きの打開策だ。

 一方、火種は米朝だけじゃない。中国、ロシアをはじめ、いつのまにか世界中に独裁者が“増殖”している。グローバリゼーションの進展で経済も政治も格段に動きが速くなり、国家の意思決定はますます迅速さが求められるようになっているためか、手間もコストもかかる民主主義に対し、市民がいらだちを募らせている。これが独裁者を生み出す素地になっているというのが本書の見立てだ。

 しかし、だからといって民主主義は捨てられない。こんな乱世を生き抜くための方策を、両氏が全力で模索した。(中公新書ラクレ・820円+税)

 中央公論新社特別編集部・中西恵子

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