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【続 消えるがん消えないがん】高価な新薬 命を救う医療と費用対価論

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【続 消えるがん消えないがん】
高価な新薬 命を救う医療と費用対価論

オプジーボの薬価が主に反映されている、吉仲勇さんの医療費明細。オプジーボの薬価は下げられたが、総医療費は2000万円を超えている オプジーボの薬価が主に反映されている、吉仲勇さんの医療費明細。オプジーボの薬価は下げられたが、総医療費は2000万円を超えている

 また、英国系企業に勤め、東京医科歯科大大学院博士課程で英国の医療制度を研究する大山功倫(かつのり)氏は「医療がすべて税金でまかなわれているというと負担が軽いように思われがちだが、医療費の上限が決められている。すべての人が高額な医療を受けられるとは限らない」と指摘する。

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 吉仲勇さんがオプジーボを打ち始めてから1年後。29年9月の検査結果を見て、がん研有明病院の主治医、西川晋吾医師から「よかったですね。がんが小さくなっています」と言葉をかけられた。

 「いつ死んでもおかしくない」という悲壮な覚悟から解放された瞬間だった。吉仲さんは同薬の適用に間に合っただけでなく、同様の患者の中でもこの薬が効く2割のグループに入っていたことが投薬後に分かった。いくつもの幸運が重なっていた。

 吉仲さんは昨秋から左官の仕事を再開した。高額療養費制度で恩恵を受ける側から、収入を得て納税する側に復帰したことも吉仲さんの気持ちを明るくしている。

 命を救うために高額な薬を使える環境が整えば整うほど、財源の問題に行きあたる。薬価を抑えれば新薬の開発意欲を下げかねない。

 千葉大予防医学センターの近藤克則教授(医療政策)はこう話す。

 「今後、わが国では効果はあるが高額な医療を保険制度でどこまでカバーすべきか、国民が選択を迫られることが増えてくるだろう。貧富の差によって受けられる医療の質に差が出ることの是非も含めて議論が必要だ」

     

 この企画は坂井広志、大家俊夫、山本雅人が担当しました。

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