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【続 消えるがん消えないがん】高価な新薬 命を救う医療と費用対価論

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【続 消えるがん消えないがん】
高価な新薬 命を救う医療と費用対価論

オプジーボの薬価が主に反映されている、吉仲勇さんの医療費明細。オプジーボの薬価は下げられたが、総医療費は2000万円を超えている オプジーボの薬価が主に反映されている、吉仲勇さんの医療費明細。オプジーボの薬価は下げられたが、総医療費は2000万円を超えている

 米ハーバード大大学院のイチロー・カワチ教授(公衆衛生)は吉仲さんが受けた最新の治療や制度上の優遇について「医療先進国の欧米でも難しい。今の日本でなければ実現できなかったかもしれない」と語る。その一方で「新薬の効果は喜ばしいことだが、高額だ。費用対効果という観点も大切になる」と指摘し、医療の在り方に及ぼす影響に警鐘を鳴らす。

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 オプジーボは、日本でまず保険適用になった後、世界に広がった。当初は患者数の少ない悪性黒色腫(メラノーマ)の新薬として発売された。平成26年当時の薬価は100ミリグラムが約73万円、患者1人当たり年間3500万円相当とされた。

 がん種の適用範囲が拡大されるのに伴い、保険医療財政を圧迫していると問題視され、29年2月に緊急措置で50%の引き下げが決まった。米国では100ミリグラム約30万円、英国では約15万円と価格差があることも理由とされた。

 では、日本に比べて薬価が低く設定されている米英両国では、より多くの患者が新薬オプジーボの恩恵を受けられているのだろうか。

 国際医療経済学者で、「日米がん格差」の著者のアキ・よしかわ氏は日米両国の医療機関でがんの治療を受けた経験を持つ。「米国には高齢者や低所得者向けの保険もあるが、そうした保険では高額医療のカバー率は高くはない」と指摘する。

 米ハーバード大大学院のイチロー・カワチ教授も米国の医療保険について「米国では『松・竹・梅』というふうに保険料が異なる。その額によって、オプジーボのような高額医療が受けられるかどうか決まることが多い」と話す。

 英国は日本と同じ皆保険制度ながら、様相を異にする。国立医療技術評価機構(NICE)がコストをにらみながら推奨する医薬品を定めるしくみだが、例えばオプジーボは肺がんのファーストライン(1次治療)にはリストアップされていない。

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