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【書評倶楽部】女優・東ちづる 『鯉のはなシアター』桝本壮志著 「広島をなんとかせにゃ」小説で描く驚きの秘策 地元局の放送作家が初の書き下ろし

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【書評倶楽部】
女優・東ちづる 『鯉のはなシアター』桝本壮志著 「広島をなんとかせにゃ」小説で描く驚きの秘策 地元局の放送作家が初の書き下ろし

 広島ホームテレビで、広島カープにまつわる秘話などを紹介する人気番組「鯉のはなシアター」。本書はその放送作家の初の書き下ろし小説で広島出身でも、カープファンでもなくても、自分や自分の街に置き換えてビジネス書、啓発本としても楽しめる。

 東京で仕事にも恋にも行き詰まり、故郷に戻った奥崎愛未が祖父が経営する老舗映画館の非常事態を知る。映画館がある商店街も寂れている。地元の人も、愛未も「なんとかせにゃあいけん!」という思いはあるが、現実のハードルはあまりに高い。そこに謎の男が現れる。

 映画館、商店街をも復興させるべく秘策を提案するが、その振る舞いが実に憎たらしい。しかも提案のすべてが突拍子もないときた。それは広島生まれ、広島育ちの人でもほとんど知らない地元の実話をヒントにしているという。

 被爆地・広島の人々が秘めた思い、そして、カープのマニアックで珠玉のエピソードが泥臭く、底力にあふれている。謎の男の巻き込み力をあやしみながらも、広島魂とも言える反骨精神が、愛未たちにも次第にめばえていく。

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