産経ニュース

【からだのレシピ】武田が米MIT・東大とベンチャー育成で連携

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【からだのレシピ】
武田が米MIT・東大とベンチャー育成で連携

 ■成功には他社を10倍しのぐ技術を

 ■国際会議で米若手経営者の取り組み紹介

 武田薬品工業と米マサチューセッツ工科大(MIT)、東京大の産学3者が医療や生命科学(ライフサイエンス)分野のベンチャー企業育成のあり方を話し合う国際会議が18日、神奈川県藤沢市で開かれた。難病などの治癒を可能とする革新的な医薬品や技術を開発する上でベンチャーの役割が高まっている中で、「他社を凌駕(りょうが)する技術がなければ成功しない」との心構えが紹介された。

                   ◇

 会議は「2017 MIT スタートアップ・ショーケース・ジャパン」と銘打って開催された。MITは世界の企業とパートナーシップを結び、研究課題やビジネス展開を行うプログラムを実施している。武田は平成27(2015)年から同プログラムに参加しており、今回の会議はその一環だ。

 米国側はMITから生まれたベンチャー企業の若手経営者らがそれぞれの取り組みを発表した。「バイオ・ブライト」という会社からは人工知能(AI)の学習機能を活用した効率的な創薬をサポートするツールの開発について、「ケア・アクロス」からは独自のデジタル・システムを活用したがん患者の支援事業についてそれぞれ説明があった。こうした若き経営者らは日本企業との連携を呼びかけていた。

 パネルディスカッションでMITコーポレート・リレーションズのジョン・ロバーツ氏が産学連携の重要性について聞くと、MITのカレン・グリーソン氏は「アカデミアでの研究は企業にとっても魅力的であるべきだ」と指摘。その上で、「ベンチャーが成功するには、先行する企業を10倍くらい凌駕する技術を生み出さなければならない」と説いた。

 起業の環境に関して、武田のイノベーション・アントレプレナーシップ・ヘッド、シャム・ニカム氏は「アイデアとそれが実現できる環境、それに政府の支援があれば難しくない」と述べ、「米国では研究者が産業界とアカデミアを行き来することが多い。その過程で自らの夢をつかむ努力をしている」と紹介した。

 日本側からは、製薬会社でトップを務めた東大の加藤益弘特任教授が「海外で研究する日本人研究者が減ってきている」と国際的な経験の必要性を説いた。

 日本のベンチャーの雄として知られる「ペプチドリーム」の共同創業者である東大大学院の菅裕明教授は「医薬品などの分野で起業するには圧倒的な技術力が必要だ。そのレベルでないと成功しないし、国力を付けることにもつながらない」と発言した。

                   ◇

 ■「湘南研究所から創薬イノベーション起こす」

 国際会議では武田の再生医療ユニット・グローバルヘッドの出雲正剛氏から、同社が湘南研究所(神奈川県藤沢市)に外部企業を誘致する「湘南ヘルス・イノベーション・パーク」構想について発表があった。

 出雲氏によると、同社はがん(オンコロジー)、消化器系、中枢神経系の3つの疾患と予防領域としてワクチンに特化しており、研究拠点を米国と日本に絞っている。そうした中で「日本がイノベーション立国になるように、外部企業にも開放するこの構想がスタートした」と説明した。

 具体的には、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した創薬を目指す、慶応大(岡野栄之教授)発バイオベンチャー「ケイファーマ」や、次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法を手がけるベンチャー、ノイルイミューン・バイオテックなどの入居が決まった。

 出雲氏は「同パークにはたくさんの若き企業やアカデミアに来ていただき、産官学がオープンに連携して創薬イノベーションを起こしていきたい」と語った。

このニュースの写真

  • 武田が米MIT・東大とベンチャー育成で連携

「ライフ」のランキング