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【正論】科学の営みが示した放射線被曝の結論 「報告」を読み論文の数と6年の歳月の試練に耐えた重みを評価する 東洋大学教授・坂村健

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【正論】
科学の営みが示した放射線被曝の結論 「報告」を読み論文の数と6年の歳月の試練に耐えた重みを評価する 東洋大学教授・坂村健

 それに対して「提言」の健康管理問題に関する項目の引用文献は、10本に満たない。しかも、査読を通っていない一般書や関係の薄い論文も含まれ、内容にかかわる査読付き論文は2本だけ。その1本は国連の科学委員会の白書で「重大な欠陥がある」として却下されたものだ。

 原子力について社会的影響から政府へ提言するということについてはさまざまな観点があり、ここではその是非は問わない。しかし、そのことと健康被害の問題は切り離して語るべきだ。今や貧弱な引用文献をつけてまで無理に健康被害を言うことは、寧(むし)ろその趣旨を疑わせる弱点に他ならない。

《試練に耐えた重みを評価する》

 そのように「報告」は科学界からの結論として大きな意義のあるものなのに、マスコミでの扱いはほとんどなかった。ぜひ知ってほしい-というような内容のコラムを書いたら「放射線の専門家でもないくせに」というお叱りが来た。しかし、それでも「科学」については語れるし、ぜひ知ってほしいことがある。

 科学者と言っても人間だ。一時のプライドや個人の利益のために結果を捻(ね)じ曲げる人もいる。奇妙奇天烈な発表も日常茶飯事で、STAP細胞事件のように一時期、皆が完全に騙(だま)される例も歴史をひもとけばいくらでも出てくる。

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