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【正論】科学の営みが示した放射線被曝の結論 「報告」を読み論文の数と6年の歳月の試練に耐えた重みを評価する 東洋大学教授・坂村健

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【正論】
科学の営みが示した放射線被曝の結論 「報告」を読み論文の数と6年の歳月の試練に耐えた重みを評価する 東洋大学教授・坂村健

《無理に健康被害を言う「提言」》

 実は、先の「報告」を出したのは「臨床医学委員会-放射線防護・リスクマネジメント分科会」、後の「提言」を出したのは「原子力利用の将来像についての検討委員会-原子力発電の将来検討分科会」だ。メンバーも完全に異なる。後者は法学、文学、経営学、宗教学などの文系が半分程度を占め、目的も社会的影響の側面から原子力政策に提言すること。健康被害が主題の「報告」とは検討の度合いもだいぶ違っている。

 同じ日本学術会議から出た裏腹な「報告」と「提言」を読み比べた人が、『日本学術会議の「合意」を読みとく』という題で、ネットで報告している。そのまとめをした服部美咲さんが指摘しているが、論文の観点から見た場合、この2つの引用文献の「数と質」には大きな違いがある。

 「報告」の引用文献は84件。しかも質の高い学会の査読を通ったものや、それらをベースにした国連科学委員会の白書などである。チェルノブイリ原発事故より被曝線量がはるかに低いという複数の論文や、現地調査をもとに「死産、早産、低出生時体重及び先天性異常の発生率に事故の影響が見られない」とする複数の論文。「福島の子どもに発見された甲状腺がんが、原発事故に伴う放射線被曝によるものとは考えにくい」とする複数の論文等々だ。

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