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【書評】足で稼ぎ、肌で学んだ捕鯨史 『日本人とくじら-歴史と文化』小松正之著

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【書評】
足で稼ぎ、肌で学んだ捕鯨史 『日本人とくじら-歴史と文化』小松正之著

『日本人とくじら-歴史と文化』小松正之著 『日本人とくじら-歴史と文化』小松正之著

 本書は平成19年に出版された『歴史と文化探訪 日本人とくじら』(ごま書房)の続編である。著者の小松正之氏は、水産庁からイタリア大使館に派遣され、1991年8月に帰国、水産庁帰任後、捕鯨交渉における日本の事実上首席代表を務めた。

 当時、「日本の捕鯨が風前の灯」のなかでの捕鯨交渉で科学と条約論に加え、歴史と文化を掘り起こして論陣を張ったが、そのことが著者が捕鯨の歴史を探訪するきっかけになったという。ゆかりある地域を訪ね、捕鯨に根ざした生活、産業、食文化などに迫ったのが前著だった。

 それから10年、シーシェパードによる妨害行為や、第二期南極海鯨類捕獲調査事業の停止をめぐる国際司法裁判所(ICJ)での敗訴判決(2014年)など、「再び捕鯨の凋落(ちょうらく)が始まった」。背景にある「日本政府の失態」「役人の怠慢と、情熱と能力の不足」への思いも込めて、続編出版となった。

 今回の著書では、江戸時代に日本最大の捕鯨地だった長崎の壱岐、対馬と五島列島での各種伝承、伝統捕鯨文化の原点であり近代捕鯨発祥の地といわれる山口県長門市と、それを発展させた下関市などが取り上げられている。石川県加賀・能登地方での定置網漁の話は驚くべき歴史である。やがて明治、昭和に入り、西日本から北海道や東北・三陸に漁場の中心が移った変遷もたどる。

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