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【書評】杏林大学名誉教授・田久保忠衛が読む『戦争と平和』百田尚樹著 「信じれば弾跳ね返す」 九条盲信の人々は日本の義和団か

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【書評】
杏林大学名誉教授・田久保忠衛が読む『戦争と平和』百田尚樹著 「信じれば弾跳ね返す」 九条盲信の人々は日本の義和団か

『戦争と平和』百田尚樹著(新潮新書・760円+税) 『戦争と平和』百田尚樹著(新潮新書・760円+税)

 いまから30~40年前のことだ。ある地方都市の市民ホールで安全保障の講演をしていたら、「平和を守ってきたのは日本国憲法だ」と2階席の若い女性が声を上げた。「違います。自衛隊と日米安保条約です」と切り返したが、通じない。屁理屈(へりくつ)でもいいから反論してくれれば意見を交わせるのだが、そうではない。いまでも時々思い出す不愉快な出来事だ。

 著者は「日本に九条がある限り、戦争は決して起こらない」と思い込んでいる人々がいる、と喝破する。どうしたら北朝鮮のミサイル、核実験を防ぐことができるかを考えず、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の前で憲法九条を唱えるのは正気ではない。パシフィスト(反戦主義者)という英語もあるからには、他国にも似たような思考をする人々が存在するのだろうが、日本のマスメディアが使っている「平和主義者」の訳は当てはまらない。左翼、左翼的文化人、進歩的文化人などの呼称も褒め過ぎではないのか。

 著者は痛烈である。日本のパシフィストを清朝末期の義和団になぞらえた。「白蓮教という民間宗教と梅花拳という拳法が合体したものです。これを信じれば、鉄砲の弾も跳(は)ね返すことができ、刀で切られても死なないという凄(すご)いものです」とバッサリ切っている。問題は日本の義和団が少なからず存在し、それを利用したり、そそのかしたりするマスメディアや政治家が横行する現状だろう。

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