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【話の肖像画】バレエダンサー ミハイル・バリシニコフ(5) 2つの祖国への愛情

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【話の肖像画】
バレエダンサー ミハイル・バリシニコフ(5) 2つの祖国への愛情

劇場で練習生を指導する=米ニューヨークのバリシニコフ・アーツ・センター(桐山弘太撮影) 劇場で練習生を指導する=米ニューヨークのバリシニコフ・アーツ・センター(桐山弘太撮影)

 〈最近は一人芝居という未知の分野にも足を踏み出した。米人気演出家、ロバート・ウィルソンが手がけた「レター・トゥ・ア・マン」と、故郷ラトビアを代表する演出家、アルビス・ヘルマニスの「ブロツキー/バリシニコフ」だ〉

 前者は、ロシアの伝説的なバレエダンサー、バーツラフ・ニジンスキーが晩年に書き残した日記を題材にしています。私は夢想家気質のウィルソンが演出した作品の大ファンです。また、ウィルソンが私と同様、アジアの芸術、特に能など日本の芸術から大きなインスピレーションを受けていることにも親近感を持っています。

 後者は私とラトビアの深いつながりを示す一例といえるでしょう。ロシア出身のノーベル文学賞作家、ヨシフ・ブロツキーの詩をベースにロシア語で上演します。ヘルマニスとブロツキー、私が長年の親友だったことが、上演の実現へとつながりました。

 このように2つの一人芝居は、私にとって個人的な意味を持つものでした。正直なところ、最初は2つの仕事を受けるべきか、迷いもしました。あまりにも内容が複雑で野心的でしたから、私にできるのだろうかと葛藤もしたし、プレッシャーも強かったのです。でも、結果的には挑戦して良かったと思います。

 〈今年4月、長年の芸術活動への貢献により、ラトビア政府から市民権が贈られた。小さな国だが、誇り高く、独立心が旺盛なラトビアの姿は、小柄なバリシニコフの生き方そのものといってもいい〉

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