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【びっくりサイエンス】野菜の鮮度を何カ月も保つ! 日本人が開発したノーベル賞級の「多孔性金属錯体」 世界が注目する驚きの性質とは

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【びっくりサイエンス】
野菜の鮮度を何カ月も保つ! 日本人が開発したノーベル賞級の「多孔性金属錯体」 世界が注目する驚きの性質とは

多孔性金属錯体の構造モデルとサンプル(京都大学高等研究院・物質-細胞統合システム拠点のホームページより) 多孔性金属錯体の構造モデルとサンプル(京都大学高等研究院・物質-細胞統合システム拠点のホームページより)

「ガスの薬」でがん治療、京都大が実用化へ研究

 PCPの母国である日本も負けてはいられない。国内唯一のPCPベンチャーで、2015年に創業した「Atomis(アトミス)」(京都市)も今年7月にPCPの提供を開始。20年までにエネルギーや生命科学分野での商業進出を目指す。

 同社の創業者で、北川氏の研究室に所属する京都大の樋口雅一特定助教は「PCPは世界の産業構造全体を変えられる存在だ。米国のアップルやグーグルのように、世界の人々が恩恵を得られるようにしたい」と意気込む。

 京都大では、ほかにもPCPの実用化に向けた研究が盛んだ。その一つが「ガスの薬」で、これは一酸化炭素や一酸化窒素といった気体をPCPで捕捉したまま脳や心臓、肝臓などの臓器に送り届けるものだ。

 一酸化炭素や一酸化窒素と聞くと危険なイメージがあるが、それはあくまで口や鼻から吸い込んだ場合の話。肺を経由しないで臓器に直接送り届ければ、がんなどさまざまな病気の予防や治療に役立つのだという。

 現在はまだ動物実験の段階だが、臓器への運搬やガス放出の手法などに関する検証を重ねて5~10年後の実用化を目指している。

 薬の他にもガスの分離膜や燃料電池への応用といった研究も進む。日本の産学連携に長く携わってきた樋口氏は「京都大は研究レベルがとても高いが、産業応用への道は遠いままだ。しかし、ベンチャーをはじめとした民間企業、国や投資会社の資金などを活用して日本の発展につなげたい」と話す。(科学部 小野晋史)

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