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【話題の本】自決9カ月前に語られた死生観や文学観 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』三島由紀夫著

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自決9カ月前に語られた死生観や文学観 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』三島由紀夫著

【話題の本】『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』三島由紀夫著/TBSヴィンテージ・クラシックス編(講談社・1500円+税) 【話題の本】『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』三島由紀夫著/TBSヴィンテージ・クラシックス編(講談社・1500円+税)

 作家、三島由紀夫(1925~70年)の対談を収めた未公開テープが発見された、と報じられたのは今年1月。自決の約9カ月前、昭和45年2月に収録されたものだけに、三島が語る死生観や文学観は生々しさをもって迫ってきた。1時間20分に及ぶ対談全文を掲載した本書も、8日に発売され、翌日には増刷が決まるほど「反響は大きい」(担当編集者)という。

 三島は、ウイスキーのソーダ割りを片手に、対談相手である英国の翻訳家に胸襟を開く。〈死の位置が肉体の外から中へ入ってきた〉と死生観を吐露したかと思えば、戦後の平和憲法の偽善を厳しく衝(つ)く。〈小説の構成が劇的過ぎる〉と自らの文学の欠点も明かす。時折、〈ハッハハハハ〉と豪快な笑い声を立てながら…。

 収録されたのは、遺作となった小説「豊饒(ほうじょう)の海」の第3部「暁の寺」を脱稿した日でもある。つかの間の解放感の先には、完結編となる第4部「天人五衰」の連載という大仕事が控える。その重圧や不安を想像してみると、一つ一つの言葉、所作の重みがまた増す。

 対談内容と関係の深い評論「太陽と鉄」も収録。肉声と補完し合い、人間・三島の実像を今に伝える。(TBSヴィンテージ・クラシックス編/講談社・1500円+税)(海老沢類)

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