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【日野原重明さん死去】
評伝「死に方は生き方で決まる」 飽くなき献身と日本人への警鐘
「死に方は生き方で決まります」という言葉が印象に残っている。100歳を過ぎても2、3年先までスケジュールがぎっしり。人間ドック導入や生活習慣病の名付け親、ターミナルケア(終末期医療)の普及など、医師としての活躍はもちろん、お年寄りの新たなライフスタイル、子供たちへの命の教育、日本人の精神…。穏やかで温かく、時には辛口のメッセージを発信し、生涯現役を貫いた。
明治44年生まれ。旧制三高から京都帝大医学部卒。昭和16年に聖路加国際病院の内科医となり、内科部長、院長を歴任した。
100歳前に行ったインタビューで、戦後、豊かになりすぎた日本人に強い懸念を示されていたことを覚えている。「お金がすべてという風潮」「豊かになれば感性が鈍り感謝の気持ちを忘れてしまう」…。チャレンジ精神が薄れてしまった若者には「アフリカや難民キャンプなどモノのない所で1年間生活してみたらどうだろう。安定やイージーばかりでなく、いろんな体験が必要だ」と。