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ゲンロン0 東浩紀さん哲学書ベストセラー 観光客がつくる新たな連帯

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ゲンロン0 東浩紀さん哲学書ベストセラー 観光客がつくる新たな連帯

「今この瞬間の行動でなく、長いスパンで考えるのが思想の役割」と語る東浩紀さん(桐原正道撮影) 「今この瞬間の行動でなく、長いスパンで考えるのが思想の役割」と語る東浩紀さん(桐原正道撮影)

 「人が本来だったら行くはずのないところに行き、会わないはずの人に会い、考えないはずのことを考える。自分が本来、やらなくてもいいはずのことをやってしまう機会が『観光』」

 冷戦後の国際的な連帯を目指す思想としては、イタリアの哲学者ネグリ氏らが提起した「マルチチュード」(反体制運動などでつながる群衆)があり、日本でも近年のデモの流行に影響した。だが東さんは、「かつての共産主義のような理想の共有がないまま、とにかく瞬間的な連帯を優先する発想」と批判。これからの人類の連帯はデモのようなやみくもな動員でなく、郵便物の誤配のような予期せぬ出会いの集積で作られるとする。観光客は、マルチチュードを批判的に乗り越えた「郵便的マルチチュード」だという。

 郵便的という言葉は、仏哲学者デリダを論じた平成10年刊のデビュー作『存在論的、郵便的』(新潮社、サントリー学芸賞受賞)の中核となる概念だ。20代で日本の現代思想を担う俊英として注目され、哲学からサブカルチャー評論、出版社経営とさまざまな仕事を手がけてきた。本書は、デビュー以来約20年の思考の集大成だという。「これまでの仕事がわりとバラバラで読者層も分裂していたので、それを整理し説明する必要があった。ぼく自身が前に進むために、この本を書かなければいけなかったのかなと思います」

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