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【夢を追う】獣医師・徳田竜之介さん(2) 教授の苦言で目が覚める

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【夢を追う】
獣医師・徳田竜之介さん(2) 教授の苦言で目が覚める

供血犬にもなる土佐犬「サイゴー」と徳田竜之介さん 供血犬にもなる土佐犬「サイゴー」と徳田竜之介さん

 それから勉強に本腰を入れたら、おもしろくなった。朝から夜遅くまで研究室にこもって、打ち込んだ。当時一生懸命やったことが、獣医師としての土台になったと思います。

 大学院にも進みました。修業期間は大学と院を合わせて、9年にもなりました。

 《勤務獣医としてキャリアを積んだ》

 千葉で3年、相模原で3年の計6年、いずれも大学の先輩の動物病院で勤務しました。

 学生時代は「徳田」としか呼ばれなかったのが、獣医になった途端、「先生」と呼ばれます。責任の重さを痛感しました。実際、獣医師として仕事をする中で、より勉強するようになりました。自分のためだけでなく、他人のため、実践的に勉強をする。それが一番頭に入りました。

 《平成6年、熊本市へ戻って開業した。32歳。厳しい船出だった》

 開業資金が50万円しかなかったんです。住民票も相模原のまま。不動産業者に「馬鹿(ばか)にしているのか!」と怒られたほどです。

 運良く愛犬家の不動産業者と出会い、物件を借りることができた。50万円は敷金礼金でなくなりました。ゼロからのスタートですね。

 開業に漕ぎ着けたのだから、軌道に乗せたい。知恵を絞りました。顧客をつかむには、やはり見かけも大切だと考えました。でも資金はない。中古で使えない機器を譲り受けて、薬の空き箱をもらって飾りました。エックス線検査は、知り合いの動物病院に依頼して対応しました。

 獣医師の仕事は、差別化が難しいんです。医療技術はそんなに変わらない。そこで、土日や夜間、年末年始も診察することを、武器にしようと考えました。これが功を奏して、口コミで評判が広がり、徐々に売り上げは伸びました。動物看護師も雇った。

 それでも自転車操業のままでした。スタッフの給料を払えないという最悪の事態は、避けたかった。

 新聞配達のバイトを始めました。新聞を配る午前4~6時は、来客も少なく、この時間を有効活用しようと考えました。新聞配達は1年半ほど続けました。その後、人を増やすこともできたのです。

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