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【書評】フリーライター・相米周二が読む『ぷろぼの』楡周平著 容赦なく社員リストラすすめる大企業に「仕置き」

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【書評】
フリーライター・相米周二が読む『ぷろぼの』楡周平著 容赦なく社員リストラすすめる大企業に「仕置き」

『ぷろぼの』楡周平著 『ぷろぼの』楡周平著

 『ぷろぼの(プロボノ)』とは、仕事で培った知識や経験、技能を、社会貢献のために提供するボランティア活動のこと。目まぐるしく変化する時代の中、「なんのために働くのか」「社会の役に立っているのか」など、自分の存在意義と救いを見いだそうとプロボノ志願者は着実に増えているという。

 本書は、そのプロボノを斡旋(あっせん)するNPO組織が、大手企業のリストラ騒動に義憤を感じ、“仕置き”に立ち上がる物語。ターゲットは、大手電器メーカーで情け容赦なく人員整理を指揮する人事部労務担当部長の江間。死者まで出しながら意に介さず、会社の経費でホステスを囲うなどやりたい放題。江間が作ったリストラ策もエグい。

 いわゆる「追い出し部屋」をさらに進めた「吊(つる)し部屋」を考案。窓一つない部屋にリストラ要員を閉じこめ、雇われたクレーマーが脅しの電話をかけまくって退職に追い込む。自主退職を執拗(しつよう)に迫られながら、何とか会社に残ろうと抵抗を試みる中高年の姿が痛ましい。

 一方、江間の下でリストラの実務を担う人材開発課課長代理・大岡の自責の念、「仕事と上司は選べず」心身ともに疲弊していく姿も…。

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