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【書評】江戸東京博物館館長、東京大学名誉教授・藤森照信が読む『ニーマイヤー 104歳の最終講義』 ブラジル新首都デザインした建築家の伝えたいこととは

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【書評】
江戸東京博物館館長、東京大学名誉教授・藤森照信が読む『ニーマイヤー 104歳の最終講義』 ブラジル新首都デザインした建築家の伝えたいこととは

『ニーマイヤー 104歳の最終講義』 『ニーマイヤー 104歳の最終講義』

 建築家の書いた本は難解なものが多い。きっと書いた本人が自分の言っていることを深く理解していないか、それとも、言っていることをちゃんと実行していないかのどちらかだろうと臆測している。

 しかしこの本は違う。分かりやすいばかりか、読む人の心の奥までピリピリ響いてくる。

 オスカー・ニーマイヤーといってもたいていの読者は知らないだろうが、1907年にブラジルで生まれ、建築家となり、世界遺産に指定されたブラジリア(ブラジルの新首都)の都市と建築をデザインし、5年前の2012年に104歳で亡くなっている。

 その歳(とし)で語った言葉をまとめたのがこの一冊。まず、長くないのがうれしい。次に、丹下健三はじめ世界の20世紀後半の建築家に多くの直接的影響を与え、21世紀初頭の今も若い世代を刺激し続けながら、しかし建築を超えて広く社会まで変えようとした志に感銘を受ける。

 「私は『建築は重要ではない』と生涯繰り返し言い続けてきた。建築はきっかけである。重要なのは人々の日常の暮らしであり、人間である。建築は政治的な機能を持ち得るものだ。なぜならそれは、人と人の暮らし方に、大きく関わるものだから」

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