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【書評倶楽部】古美術鑑定家・中島誠之助 『陽明丸と800人の子供たち』(北室南苑編著) 日米露の人々の人類愛

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古美術鑑定家・中島誠之助 『陽明丸と800人の子供たち』(北室南苑編著) 日米露の人々の人類愛

古美術鑑定家の中島誠之助さん 古美術鑑定家の中島誠之助さん

 脱出は米国赤十字社の要請によるもので、著者はこの船を「陽明丸」と推理。船舶会社、船主を割り出し、「カヤハラ」と記録された船長を探す。業界誌や室蘭民報にこの件に関する記事が掲載され、産経新聞モスクワ駐在記者も取材に協力してくれる。

 著者の情熱は多くの人々を動かし、ついには船長・茅原基治の墓を岡山県笠岡市に探しあてるのだ。日本に招かれたモルキナさんがロシア国旗を墓前にささげ、祈りと感謝の言葉を述べる。

 この本を読み進めて涙を浮かべるのは、当時の厳しい国際情勢の中で日米露の人々の人類愛が胸を打つからだ。そして、それをひもといた北陸女性の愛に打たれるからだ。(北室南苑編著/並木書房・1500円+税)

                   

【プロフィル】中島誠之助

 なかじま・せいのすけ 昭和13年生まれ。東京・青山の骨董通りの名付け親。著書に『句集 古希千句』ほか。

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