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「リアルのゆくえ」展 写実の系譜に日本人の感性

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「リアルのゆくえ」展 写実の系譜に日本人の感性

高橋由一「鮭」 制作年不詳 油彩・キャンバス、山形美術館寄託 高橋由一「鮭」 制作年不詳 油彩・キャンバス、山形美術館寄託

 事物をありのままに描いた写実画。明治から現代までの系譜をたどる「リアル(写実)のゆくえ」展が、神奈川県の平塚市美術館で開かれている。対象物を見つめ、その本質までも描き出そうとする画家たち。隅々まで描き出す絵画からは深い精神性や日本人独特の感性が見えてくる。(渋沢和彦)

                   

 黒い背景から浮かび上がるのは縄でつるされた新巻きサケ。皮の黒くくすんだザラザラした質感と赤みを帯びた身のみずみずしさ。眼前に実物があるような存在感がある。江戸末期から明治中頃まで活躍した高橋由一(ゆいち)の「鮭」だ。彼はこのような「鮭」を何点か描き、日本人洋画家の先駆となった。

 日本画を学んでいた由一は、友人が持っていた西洋の石版画を見て、遠近法や陰影法を取り入れた技法による真に迫った描写に驚き西洋画を志した。当時、日本にいた英国人画家、チャールズ・ワーグマンに師事して油彩画の技法を習得。「絵の事は精神のなす業である」と、徹底的な写実を追求しながら精神性を重んじた作品を制作した。

 由一は油彩画で新しい時代を切り開きながらも、油絵の本場で学び明るく晴れやかな絵を描いた黒田清輝を代表とする官展系の画家の陰に隠れ、主流となることはなかった。

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