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【産経抄】歴世の「焚書」と変わらぬ愚行…図書館の寄贈書無断廃棄 4月30日

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【産経抄】
歴世の「焚書」と変わらぬ愚行…図書館の寄贈書無断廃棄 4月30日

 ▼蔵書を不特定多数の人に貸し出した点では、天保2(1831)年開設の「青柳館文庫」を公設図書館の嚆矢(こうし)とする説もある。赤貧の幼少期を送った青柳文蔵は商売で財をなし、買い集めた図書約2万巻を郷里仙台藩に寄贈した。「書すなわち吾の賢子孫なり」は文蔵の言葉といい、蔵書には「勿折角(=本を折り曲げるな)」などの注意書きが丁寧に押印してあった。

 ▼折しも仏文学者、桑原武夫氏の遺族が寄贈した蔵書約1万冊を、京都市の図書館が無断で廃棄していたとの記事(大阪版)を読んだ。「知識が増えるほど、われわれの無知も明らかになる」と米大統領、ケネディの言葉にある。本が安く手に入る時代とはいえ“書物の番人”が本の値打ちに無知、いや無神経なことに胸が悪くなる。

 ▼歴世の焚書と変わらない、愚行ではないか。「わが子孫」を手にかけられた文蔵は地下から何と嘆くだろう。

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