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【書評倶楽部】演劇ジャーナリスト・永井多恵子 『北京から来た男(上・下)』 推理小説を装いつつ史実を

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演劇ジャーナリスト・永井多恵子 『北京から来た男(上・下)』 推理小説を装いつつ史実を

永井多恵子さん 永井多恵子さん

 これは推理小説なのか、中国と欧米にまたがる歴史小説なのか、ともかく壮大な物語に魅せられる。

 2006年、1匹の狼がスウェーデンの寒村で血の匂いを嗅ぎつける。そこで8軒の家から19の遺体が発見される。1人を除いて老人ばかり。猫も犬も切り殺されていた。スウェーデン犯罪史上稀(まれ)にみる大事件である。

 犯人捜しに挑む女性裁判官は、犠牲者の祖先がアメリカ大陸横断鉄道の現場監督だったことを知る。19世紀後半、米国には北欧、アイルランド、そして中国からも多くの移民が働いていた。

 突然、場面は中国に移る。ト小平以後、「使える人間」として頭角を現し、金と権力を持つ実業家、ヤ・ルーの登場である。彼は革命後の政治的派閥闘争を生き抜いた男として描かれている。ルーの机の上には140年前の祖先、サンの日記がある。そこには広東の港から米大陸へ連れ去られ鉄道建設に過酷な労働を強いられた日々の記録が残されていた。彼は時を超えて祖先の復讐(ふくしゅう)をしたのだ。

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