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【書評】美術ジャーナリスト・藤田一人が読む『天皇の美術史2 治天のまなざし、王朝美の再構築』伊藤大輔、加須屋誠著 権威と権力使い分ける知恵

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【書評】
美術ジャーナリスト・藤田一人が読む『天皇の美術史2 治天のまなざし、王朝美の再構築』伊藤大輔、加須屋誠著 権威と権力使い分ける知恵

『天皇の美術史2 治天のまなざし、王朝美の再構築』 『天皇の美術史2 治天のまなざし、王朝美の再構築』

 一国の為政者とは、国土と国民そしてそこに息づく文化を統治しなければならない。特に力でねじ伏せることができない文化的要素こそが、統治の正当性を保証する。

 そんな政治権力と文化の関係を日本美術史に探る「天皇の美術史」(全6巻)が、刊行開始となった。口火を切るのが12~14世紀の鎌倉・南北朝時代を扱う第2巻の本書。そこからは、世界史上、稀(まれ)な永続性を誇る「天皇」の特質が浮かび上がる。

 端的に言えば、「権威と権力の分離」だろうか。律令制による中央集権体制が確立した奈良時代には権威と権力の両方を掌握していた天皇だが、平安時代の摂関政治の浸透により、政治権力が天皇の手から離れていく。そんな趨勢(すうせい)に抗して、天皇および天皇家が再び権力を取り戻す動きを見せたのが、本書で取り上げられる時代だ。

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