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【聞きたい。】人知の及ばぬものと対峙 中野京子さん 『中野京子と読み解く 運命の絵』

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【聞きたい。】
人知の及ばぬものと対峙 中野京子さん 『中野京子と読み解く 運命の絵』

中野京子さん(川口良介撮影) 中野京子さん(川口良介撮影)

 絵はただ見るのではなく、歴史的文化的背景とともに“読む”と俄然(がぜん)面白くなる。ベストセラーの『怖い絵』『名画の謎』シリーズを通して、美術鑑賞の奥深い喜びを伝えた絵画エッセーの名手が、新たに選んだテーマは「運命」だ。

 「文学や哲学などと同様、絵画も運命を多く扱ってきた。直接的に運命を表した物語画もあれば、結果的に絵が、描いた画家の未来を予告するなど“運命の不思議”もある。人は皆、ままならない人生の中で、己の運命について考えるはず。面白く読んでもらえるのではと思いました」

 人は運命にあらがえないのか。この根源的な問いといえば、ギリシャ悲劇でおなじみのオイディプスの神話。「運命から逃れようとして、運命につかまってしまう物語です」

 本書では幻想的作風で知られるフランスのモローと、ドイツ象徴主義の画家シュトゥックが同場面をどう描いたのかを比較しており、興味深い。

 また、生か死か-古代ローマの剣闘士の闘いで、運命の決断が下される直前を描いた仏画家ジェロームの「差し下ろされた親指」。米ハリウッド映画「グラディエーター」が生まれる一つのきっかけになった“運命の絵”という。他にも、歴史を変えた一戦に、未曽有の自然災害、ファム・ファタール(運命の悪女)や人生を暗転させる結婚まで、掲載の主要23作品にはありとあらゆる運命が渦巻く。絵画自体が数奇な運命をたどることもある。

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