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【書評】文筆業・桃村茶保が読む『「おもてなし」という残酷社会』榎本博明著 理不尽な苦情に対処法は…

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【書評】
文筆業・桃村茶保が読む『「おもてなし」という残酷社会』榎本博明著 理不尽な苦情に対処法は…

『「おもてなし」という残酷社会』榎本博明著 『「おもてなし」という残酷社会』榎本博明著

 日本人は古来、人同士の間柄を大切にしながら生きてきた。特に接客の場では心地よい「おもてなし」が引き継がれてきたはずだった。

 しかし、現代は勘違いされた「おもてなし」が暴走していると著者はいう。学校、病院、交通機関…。いつの間にか顧客に奉仕するサービス業務になった。要因は欧米の「顧客満足」という概念を取り入れたことだと指摘する。

 心理学者でもある著者は、多くの研究者の意見と統計を引き合いに出しながら、際限のないサービスの要求に耐え切れず、疲れ果てた人々の心が暗い闇に落ち込んでいる現況を示していく。ネット炎上が、わずか数人の悪意から作り出されている事例は、やはり不気味な恐怖を感じる。

 今やサービス業はGDPの70%、労働人口の75%を占めている。その内側でサービスを担う人々は、過酷な「おもてなし」の要求にさらされていると著者は指摘する。

 かつて苦情は、その企業や商品への思い入れが強い客からのものが多かった。満足のいく対応が得られれば、通常の客よりも再購入する度合いが高いという統計もある。

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