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【食革命 人工肉の行方】(上)人工肉は食料危機を救えるか? 世界の需要まかなえない…30年後は本物と半々になる!

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【食革命 人工肉の行方】
(上)人工肉は食料危機を救えるか? 世界の需要まかなえない…30年後は本物と半々になる!

■市民怒号「これは中国製偽タマゴだ」

 「外殻はプラスチックじゃないか。これは中国製の偽タマゴだ」

 美しい海岸を擁するインド南部ケララ州コチン。昨年秋、現代的でこぎれいなスーパーマーケットに約100人の群衆が押し寄せ、店内は怒号に包まれた。

 市民らは陳列棚のタマゴを床にたたきつけ、駆け付けた地元警察やメディアで店はごった返した。タマゴの動画や写真が「フェイスブック」に投稿され、騒ぎは一層拡大した。

 きっかけは、数日前にトラックが中国製偽タマゴを運んでいるとの噂が伝わったことだ。州当局がタマゴのサンプルを回収して検査したところ、商品はいずれも本物と判定され、情報はデマとの見方が強い。インドでは当時、原子力政策やテロ問題をめぐる中印関係の悪化を背景に中国製品の不買運動が起きており、スーパーマーケットの担当者は、偽タマゴ情報は「その流れで生じただけだ」と話す。

 しかし、抗議運動を主導した弁護士のA・N・ラマチャンドラン氏は「州ではなく連邦政府の検査が必要だ」と州発表を信じない。ネット上には偽食品の情報があふれており、「がん患者が増えているのは輸入食品に偽物が含まれていることが主な原因。中国などからの食品輸入には的確な規制が必要」と食の安全への不信感をあらわにした。

■味もにおいも見分けつかず

 インドでの偽タマゴ騒動とは異なり、世の中には人工的に作られた「本物」に近い食品が幅広く出回っている。例えば、日本では色や食感をカニの身に似せたカニ風味のかまぼこがあるが、最近はさらに進化した食品が登場している。米国で脚光を浴びる先端技術などを活用し、味も食感もにおいも実物と見分けがつかない肉がそのひとつだ。

 米カリフォルニア州シリコンバレーに本社を置くインポッシブル・フーズが開発した植物性食品だけを使った「人工肉」。同社を起こした米スタンフォード大名誉教授(生物化学)、パトリック・ブラウン氏の“苦心の作”だ。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、同社はハンバーガーに使用される調理済みのひき肉のにおいを徹底的に調査。においの種類は数百にのぼるという。

 パテ(すりつぶした肉)に使われるのは大豆やキノコ類が一般的で、味やにおいは肉とは異なるシロモノだ。同社はヘモグロビンなどに含まれる「ヘム」という物質が肉のにおいに重要な役割を果たしていることを発見。植物由来のヘムを、小麦やココナツオイル、大豆などの植物性食品で作ったパテに混ぜることで、ひき肉の独特なにおいや肉汁まで再現した。

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