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【書評】HONZ副代表、東えりかが読む『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著)「料理の鉄人」が辿った人生

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HONZ副代表、東えりかが読む『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著)「料理の鉄人」が辿った人生

『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』 『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』

 いつも見ていたテレビのワイドショーへ「生活感のある楽しい料理コーナーを作ってほしい」と投稿し、実際に自分が出るはめになっている。だが、人生どこで変わるかわからない。この番組出演が、料理研究家・小林カツ代を誕生させたのだから。

 大阪の有名料理店を食べ歩き、その味を再現するという無茶(むちゃ)な企画も、カツ代によって実現した。プロの料理人の微妙な味付けの極意を、家庭でも作れるようにアレンジしたのは画期的なことだった。

 本書では明るく気風のいいカツ代に隠された怒りっぽくて自分の健康管理に無頓着な短所も遠慮なく披露している。親しい友人だったという著者が見たカツ代の姿だ。クモ膜下出血で倒れてからの9年は厳しい闘病生活だったようだ。だが亡くなって2年、ネットでぱっとレシピが検索できる今でも「カツ代の肉じゃが」は人気メニューだ。

 -私が死んでもレシピは残る-美味(おい)しい料理は次世代に継承されていく。(文芸春秋・1500円+税)

 評・東えりか(書評家、HONZ副代表)

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