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【書評】HONZ副代表、東えりかが読む『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著)「料理の鉄人」が辿った人生

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【書評】
HONZ副代表、東えりかが読む『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』(中原一歩著)「料理の鉄人」が辿った人生

『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』 『私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝』

 かつて「料理の鉄人」という人気テレビ番組があったのを覚えているだろうか。料亭やレストランで腕を振るうプロの料理人同士が対決するこの番組で小林カツ代は家庭料理のプロとして、中華の鉄人・陳建一に勝利した。

 この時代はまだ、母親が作るような家庭料理はプロの作るものとは別のジャンルだと考えられていたのに、だ。

 本書は、普通の主婦から初めてプロの料理研究家となった小林カツ代という女性の一生を詳細に辿(たど)る。

 大阪の製菓材料の卸問屋の末っ子として生まれ、料理上手の母の元に育つ。だが結婚するまで台所に立ったことはなく、新婚時代、味噌(みそ)汁に出汁(だし)を引かず鍋いっぱいにわかめをふくれあがらせたという。

 だが母の教えで大阪・ミナミの台所で食材を調達していた実家の記憶がよみがえる。味噌汁、サバの味噌煮と腕が上がるに連れ料理に夢中になり、カツ代の一生の行動原理が形成されていった。

 それは「興味を持つ。知識を得る。行動に移す。世界が広がる」というもの。彼女の好奇心は並外れていた。

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