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【次期学習指導要領】「理念はよかった」ではダメ 改革の趣旨、伝わっているか

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【次期学習指導要領】
「理念はよかった」ではダメ 改革の趣旨、伝わっているか

 文部科学省が14日に公表した次期学習指導要領の改定案は、学習内容を列記した従来と異なり、「何ができるようになるか」が明示された。知識の習得は当然ながら、今求められているのは知識を活用して人生や未来を切り開く力だ。敷かれたレール上を進むだけでは人工知能やロボットに仕事を奪われかねず、自ら学ぶ姿勢は生涯にわたり重要となる。

 だが、改定のポイントである「アクティブ・ラーニング」の能動的な学びの手法は、グループ学習や体験学習の型だとの誤解が生じてしまった。教員の多忙感が強まる中、「時間がかかる」との批判もある。

 文部科学省は改定案でアクティブ・ラーニングの言葉の使用を取りやめ、「主体的・対話的で深い学び」と記述した。教育界では「今回が教育改革の最後の機会だ」という危機感があるにもかかわらず、改革の趣旨が国民に伝わっているとは言い難い。

 文科省が改革に乗り出したのは平成10年の改定だった。自ら課題を見つけ問題を解決するなどの「生きる力」を掲げたが、授業時間数と学習内容の削減が注目され、「ゆとり教育」と揶揄(やゆ)されてきた。20年の改定では「学力低下」の大合唱に押され学習内容を増やしたものの、「生きる力」は残り、学校現場では授業改善の努力が続いている。

 改革を浸透させるには、20年近い実践の成果を検証するとともに、教員が教材研究に取り組む環境整備も必要だ。今度こそ「理念はよかった」で終わらせてはいけない。(寺田理恵)

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