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【話の肖像画】トラベルライター・兼高かおる(2)不良少女から「役に立つ人」に

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【話の肖像画】
トラベルライター・兼高かおる(2)不良少女から「役に立つ人」に

 〈「鬼畜」と教えられたアメリカ人に会ってみれば紳士的で優しい人ばかり。「豊かな国」へのあこがれは募り、占領が終わった2年後の昭和29(1954)年、米ロサンゼルス市立大学へ留学した〉

 外国へ行くにはまだ、さまざまな制限があった時代です。語学力やアメリカでの身元保証人、健康状態を示すレントゲン写真や往復のチケットも用意しなければならない。これが千ドル(約36万円)。経由地のハワイへ行くにも、飛行機は途中、ウェーク島で給油しなければなりませんでした。ショックだったのは、あれほど勉強した私の英語が最初はあまり通じなかったこと。相手が言っていることが分からない。だから、筆談でコミュニケーションを取り、必死になって猛勉強しました。

 〈当時、アメリカへの留学生は組織や企業派遣の男性がほとんど。若い女性は少なかった〉

 もうひとつ、驚かされたのは、アメリカ人の教養の豊かさですね。知り合いの紹介で、ある大学教授がランチに招いてくださったのですが、そのとき集まった学者たちがみな事もなげに楽器を弾き、見事な室内楽のアンサンブルが始まりました。彼らの会話の内容がすごく高尚でしてね。天文学やギリシャ神話について話が弾み、私はまるでついていけない。そして、自分の国(日本)や文化についても満足に知らない自分を恥じました。

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