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【書評】文筆家・木村衣有子が読む 『かぼちゃを塩で煮る』牧野伊三夫著 生き方に溶け込んだレシピ

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【書評】
文筆家・木村衣有子が読む 『かぼちゃを塩で煮る』牧野伊三夫著 生き方に溶け込んだレシピ

「かぼちゃを塩で煮る」牧野伊三夫著(幻冬舎) 「かぼちゃを塩で煮る」牧野伊三夫著(幻冬舎)

 飲食を題材にしたエッセーは、書き手と気が合わなければぴんとこない場合もある。個人的嗜好(しこう)が最も色濃くあらわれる分野だけに仕方ないことだと思う。そう、アク取りについては大賛成でも、それと同じようには頷(うなず)き難い箇所もないではない。とはいえ、そこで反発心は芽生えないのは、牧野さんはこちらにそのやりかたを押し付けることはしないから。あくまでも、自分自身の場合はこうなのだ、と、示してみせるのみ。

 エッセーの中にはレシピが溶け込んでいる。分量も手順も明解ではなくとも、普段、料理をし慣れている人なら難なくのみこめるはず。牧野さん自身は、最初は本にあるレシピを忠実に辿(たど)っていても、だんだんその料理の構造が分かってくれば、材料を組み替えたり手順を簡略化したりして、自家薬籠中のものにしていくそうで、読んでいるこちらも、いつか彼のレシピをそんなふうにわがものにしてみたいなと思うのだった。(幻冬舎・1300円+税)

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