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【書評】『人類最期の日々』カール・クラウス著、池内紀訳 本を読まない人にも薦めたい超大作

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【書評】
『人類最期の日々』カール・クラウス著、池内紀訳 本を読まない人にも薦めたい超大作

 ■大衆社会の陥穽を赤裸々に

 登場人物は600人以上、上演には10日以上かかる壮大な戯曲、それぞれ約400ページの上下巻。そう聞けば、たじろぐ人が多いでしょう。

 しかし、あえて、あまり本を読まない人にもお薦めしたい超大作です。戯曲というのは決して読みにくいものではありませんし、訳者は、読みやすくわかりやすい名訳で、カフカやゲーテの読者層を一気に広げた池内紀です。

 著者のカール・クラウスはウィーンで活躍した作家・ジャーナリストで、25歳のときに雑誌を創刊、自分ですべての記事を書き、広告などはいっさい載せず、書きたいことを書きたいように書いて、亡くなるまでの37年間に、922号も刊行し、3万人をこえる予約購読者がいたという、まさに驚くべき人物です。

 そのクラウスが、第一次世界大戦の最中に、戦争の進行と並行して、戦争を描いていったのが、この戯曲です。「そんな昔の戦争のことか」と思う人もいるかもしれませんが、ここに書かれていることは、第二次世界大戦にも、日本の太平洋戦争にもあてはまりますし、今の日本の状況とも驚くほど符合します。45年ぶりに普及版として復刊されたのもそのためでしょう。

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