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【書評倶楽部】エッセイスト・宮田珠己 『晴れたら空に骨まいて』川内有緒著

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エッセイスト・宮田珠己 『晴れたら空に骨まいて』川内有緒著

エッセイストの宮田珠己さん エッセイストの宮田珠己さん

 ■葬送から浮かぶ故人の姿

 遺族が故人の骨をまいて追悼する、いわゆる散骨にまつわる5つのエピソードが描かれている。重たい話かと思って読みはじめたらまったく違って、どの話も明るく爽やかなのは、散骨という行為のもつ屈託のなさゆえだろうか。それは、何かからの解放のようにさえ見える。

 遺族にとって、散骨は手間のかかる行為だ。だが、そうやって故人と向き合う時間を経ることで、死による断絶が、故人への理解と共感、あるいは感謝により少しずつ均(なら)されていく。誰も愛する人の死を避けることはできないけれど、それを穏やかに、優しい経験として受け止めることはできるのかもしれない。そんなことを思わせられた。

 偶然か必然か、ここに取り上げられた故人は、みな海外への渡航経験が豊富である。散骨先もたいてい海外。

 「土の中に入れてしまうのは可哀そうじゃない? あれだけ旅が好きだったんだもの」

 という遺族の語りに、なるほど旅好きだったから散骨してあげるのだと納得しかけたが、読むほどに、それだけではなく、もともと常識にとらわれない人生を送ったらしい故人の姿が浮かんでくる。

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