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年末年始の読書の参考に…6人の選者による「2016 今年、私の3冊」

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年末年始の読書の参考に…6人の選者による「2016 今年、私の3冊」

『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』管賀江留郎著 『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』管賀江留郎著

 年末恒例の「私の3冊」をお届けします。専門分野の異なる6人の読み巧者が選んだ、ベストセラー・ランキングには登場しない良書がずらり。お読みになったものはあったでしょうか。未読なら、年末年始の読書の参考にどうぞ。

 ■評論家・浅羽通明

 〔1〕『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』管賀江留郎著

                        (洋泉社・2500円+税)

 〔2〕『文学の読み方』さやわか著      (星海社新書・880円+税)

 〔3〕『女官 明治宮中出仕の記』山川三千子著

                    (講談社学術文庫・1050円+税)

                   

 〔1〕拷問王と恐れられた紅林(くればやし)麻雄警部の怪物ぶりが何とも不気味。昭和25年の「二俣冤罪(えんざい)事件」。魔の手は、少年被告のみならず真実を証言した刑事やその家族の人生をも破壊した。この驚愕(きょうがく)の実話を素材に、認知バイアス論から時間概念の発生まで、話題は広汎に拡(ひろ)がる。「嫌ミス」(後味の悪いミステリー)など優に凌(しの)ぐ面白さに浸った後、読者は人間という謎を否応(いやおう)もなく考えるだろう。

 〔2〕「文学」とは「人の心」、「現実」を描くもの。日本近代のこの常識を、坪内逍遥や藤村にまで遡(さかのぼ)って崩してゆくのはゲーム批評の泰斗。私小説や言文一致を論じた勝又浩や橋本治の仕事の最良の入門編というべき小著。文章も実に平明でさわやか。

 〔3〕明治大正期の宮中に仕えた美貌の権掌侍(ごんしょうじ)が、婉曲(えんきょく)な筆ながら、ある「憂鬱な一時」を含む「奥」の闇をその晩年、明かした。皇室関係の著書が多い原武史が解説で「衝撃的」と評する回想が遂に文庫化。生身の一男性へ天皇という生涯職務を負わせる制度に無理はないのか。今上陛下が「お言葉」で「大正天皇」に言及された今、もう一人のミチコ様による証言はいよいよ重い。

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